地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
ミニシンポジウム
地元水産物を活用した食育活動の実践とその方途
小浜市田烏小学校および愛媛県愛南町の事例から
阿部 覚
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 47 巻 2-3 号 p. 283-299

詳細
抄録

本論文では,水産業・水産物に着目し,小浜市田烏地区と愛媛県愛南町における地元水産物を活用した食育活動の取組みを事例として,水産分野における食育の現状とその課題について明らかにすることを目的とする。

田烏小学校の学校給食における地元水産物調達の供給システムは,生産者から調理場に直接食材を供給するシステムであり,調理場の要求に対応できる生産体制(漁家)や,モノ・価格調整・情報に関する機能を兼ね備えたシステムである。一方,愛媛県愛南町の地元水産物を取り入れた「ぎょしょく教育」実践から,地元の魚に触れる機会・経験が必要であり,小さい子供のうちから魚を五感で感じることの重要性が明らかとなった。

今後の課題として,食育活動と水産物の生産・流通・消費を含めた経済活動とを如何にして連動させていくかが求められる。既存の流通システムから除外された前浜・地先で水揚げされる水産物に対して,経済的価値創造だけではなく,非経済的価値すなわち地域における社会的・文化的価値の創造まで視野に入れた取組みが必要である。

著者関連情報
© 2007 地域漁業学会
前の記事
feedback
Top