2021 年 41 巻 1 号 p. 72-75
明らかな外傷歴がないスポーツにより発症した肩関節不安定症に対する保存的治療の成績について検討を行なった.
対象はスポーツにより生じた非外傷性肩関節不安定症19肩(男性3例,女性15例,平均年齢15.9歳)である.保存的治療として,腱板機能訓練や肩甲骨周囲筋訓練などの筋力訓練を中心にリハビリテーションを行なった.
保存的治療が奏功した16例はスポーツへの復帰が可能であったが,完全復帰は13例,不完全復帰は3例であった.2例は最終的に手術的治療を要した.
スポーツを発症機転とした肩関節不安定症例においても保存的治療が有効であった.一方,最終的に手術的治療を要した症例も認め,不安定性の程度を中心に多角的に検討を行ない治療法の選択を行なうことが重要であると考えられた.