群馬保健学研究
Online ISSN : 1343-4179
ISSN-L : 1343-4179
医療系大学4年生におけるメンタルヘルスリテラシーの現状と課題に関する研究
八木原 ひなた近藤 浩子
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 41 巻 p. 9-18

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抄録

メンタルヘルスリテラシーは,精神疾患の認知・管理・予防に役立つ知識や信念と定義される。これには精神疾患の知識のみならず,適切な受診を促進する態度も含まれる。本研究は,医療系大学生のメンタルヘルスリテラシーの現状と課題を明らかにすることを目的とし,4年生約160名に質問紙調査を行った。調査内容は1. WHO-5精神的健康状態表,2.うつ病の知識(うつ病事例を提示して,病名を回答してもらう),3. 自分または他者がうつ病になった場合の対処方法であった。有効回答は130名(81.3%)であった。精神的健康状態は,学生の28.5%が不健康に該当した。うつ病の知識については,48.5%の学生が病名を正しく答えており,病名の正答率は,健康な者より,不健康な者の方が高かった(p=0.049)。対処方法のうち,「精神保健の専門家への相談」「かかりつけの医師への相談」の2つについては,自分よりも他者がうつ病になった場合により多く選ばれ,反対に自分がうつ病になった場合には,「自分の力で対処する」がより多く選ばれた。医療系大学生のメンタルヘルスリテラシーを向上するには,専門家等への相談に対する抵抗感を減らすことが課題であることが示唆された。

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