2024 年 60 巻 1 号 p. 13-19
感染者専用陰圧分娩室や新生児集中治療室を有していない一般病院産婦人科における新型コロナウイルス感染妊産婦の妊娠分娩管理について報告する.対象は2023年1月までに当院で診療したCOVID-19検査陽性妊産婦38症例である.いずれの症例も軽症あるいは無症状であり,妊娠初期の流産1例を除いて母子の転帰は良好であった.感染産婦の分娩時には臨時の隔離分娩室を設けて,担当助産師と産科医師が個人防護具を着用して対応した.新生児は出生直後より母や他の新生児から隔離した.隔離期間中に分娩に至った6例はいずれも経腟分娩であったが,新生児や病院職員への感染例はなかった.病院職員の感染源のほとんどは隔離されている既知の感染者ではなく,院内および院外の未知の感染者であった.軽症COVID-19妊産婦の妊娠分娩管理は一般病院でも対応可能であり,産科的適応と本人の希望に基づく分娩方法の選択が望ましい.