日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
胎内診断し得た冠動脈瘻の2例
鈴木 雄祐奥山 亜由美瀬尾 晃平三浦 裕子廣瀬 一浩市塚 清健長塚 正晃
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2023 年 59 巻 2 号 p. 233-238

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抄録

 冠動脈瘻は冠動脈が瘻の血管を介して直接心,または大血管腔に開いている血管走行異常であり,先天性心疾患の0.2〜0.4%と非常に稀な疾患である.今回我々は,胎児精密超音波検査で胎内診断しえた冠動脈瘻を2例経験した.症例1はカラードプラ法での心房内異常血流,パルスドプラ法での異常血流波形を契機に,症例2はBモードでの異常管腔構造,カラードプラ法での右房内異常血流を契機に冠動脈瘻を疑い,その異常血流の起始部,走行,流入部を同定したことで胎児診断することができた.冠動脈瘻を有する場合,生後早期に肺高血圧症やうっ血性心不全を発症するリスク,また盗血現象により冠動脈瘻が存在する血管灌流域で心筋虚血を来すリスクがあるとされ,胎児期の診断が児の良好な転帰に重要である.また,冠動脈瘻の胎児診断において,胎児超音波検査でカラードプラ法,パルスドプラ法を併用する意義は大きい.

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© 2023 日本周産期・新生児医学会
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