日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
妊娠中に蜂窩織炎より敗血症に至り,敗血症性肺塞栓症を続発した1例
植村 朝子中村 学石田 博美伊藤 朋子
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2023 年 59 巻 1 号 p. 82-86

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抄録

 症例は31歳女性 4妊3産,特に既往症なし.自然妊娠ののち近医で妊婦健診を施行され,妊娠20週から頸管エラスターゼ陽性に対し入院の上ピペラシリンナトリウム点滴を繰り返し投与されていた.29週5日から点滴刺入後の右前腕部に蜂窩織炎様症状と発熱と子宮収縮あり,リトドリン塩酸塩投与を開始された.29週6日に体温40℃の発熱,WBC 24,700/μL,CRP 14.9mg/dLと炎症反応,子宮収縮増強がみられ搬送された.qSOFA score2点と感染所見から蜂窩織炎に伴う敗血症を疑い緊急帝王切開を施行した.術後は救急科医師と協同しICUで管理した.血液培養と蜂窩織炎の排膿部からMRSAが検出されダプトマイシン点滴投与を行った.また胸部CTで敗血症性肺塞栓症と診断した.血液培養の陰性化とCT上の肺塞栓量の縮小を確認し第19病日に退院した.

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