日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
分娩直後に意識障害で発症した脳底動脈解離による両側視床梗塞の一例
飯場 萌絵大原 玲奈鈴木 あすか筑田 陽子木村 友沢細川 義彦西田 恵子阿部 春奈眞弓 みゆき小畠 真奈濱田 洋実佐藤 豊実
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2021 年 57 巻 3 号 p. 506-510

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抄録

 脳動脈解離はくも膜下出血や脳梗塞の原因となるが,妊娠・分娩・産褥期の報告は少ない.今回分娩直後に意識障害を発症し脳底動脈解離による両側視床梗塞と診断された一例を報告する.症例は22歳,1妊0産,既往歴や家族歴に特記事項なし.妊娠経過に問題はなく,妊娠39週6日に陣痛が発来し経腟分娩に至った.児娩出4分後に誘因なく意識障害が出現した.CTで脳出血を疑う所見なかったものの,JCS II-100の意識障害が遷延し当院へ母体搬送となった.MRIや血管造影検査で脳底動脈解離による両側視床梗塞と診断された.産褥4日に梗塞巣と解離の拡大を認め,脳底動脈にステント留置を行った.食事や歩行練習が可能となり,産褥53日でリハビリ転院となった.本症例で妊娠・分娩が脳動脈解離の誘因となったかどうかは明らかではないものの,脳動脈解離は若年者脳卒中の主要原因の一つであり,妊娠・分娩・産褥期の意識障害では鑑別すべきである.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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