日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
開腹子宮頸部縫縮術(TAC)後妊娠初期流産症例に対するmethotrexate(MTX)療法の一例
石堂 茉泉石岡 伸一藤部 佑哉鈴木 美紀嶋田 浩志真里谷 奨馬場 剛齋藤 豪
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2020 年 56 巻 1 号 p. 198-202

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抄録

 当科では経腟的アプローチが困難な流産既往のある子宮頸部超短縮症例に対して,開腹子宮頸部縫縮術(TAC)を行っている.TAC後妊娠の問題点として妊娠早期での流産がある.TAC後の流産では頸管をテフロン糸等で縫縮しているため,頸部の開大に制限があり,大きな胎盤鉗子やキュレットの挿入ができない.そのため,妊娠first trimester後期以降の流産や,待機的管理によっても子宮内容物が排出されない場合,経腟的な子宮内容除去術を行えず,流産処置のために再開腹するという侵襲的方法が必要となることもある.今回,妊娠8週で稽留流産となり,流産後3カ月経過しても胎児を含む子宮内容物が排出されず,絨毛組織の筋層内浸潤が疑われた症例に対してmethotrexate(MTX)の全身投与を行い再開腹することなく,その後正常妊娠分娩に至った症例を経験したので報告する.

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