2022 年 44 巻 1 号 p. 19-29
本研究は,介護老人福祉施設における介護ロボット導入の実態を明らかにすることを目的とした.東京都内の介護老人福祉施設478か所を対象とした郵送調査(回収率10.7%)と訪問調査(10施設)を実施した.その結果,郵送調査では,「見守り・コミュニケーションロボット」の導入率が高かった.介護ロボット導入の有無は施設の規模や情報環境との関連はなく,同じ機種のロボットでも現在継続的に使用している施設がある一方,中止した施設もあった.課題として,費用面や適合性,職員教育,精神的抵抗等が挙げられた.訪問調査では,施設環境と職員や利用者の状態・状況により必ずしも継続的に有効利用されるとは限らないという実態が明らかとなった.介護ロボットの導入に際しては,利用者の状態と使用目的,職員および施設の状況をアセスメントし,適合する介護ロボットを選定することが重要であり,費用面の問題解決や職員教育などの使用体制の構築も求められる.