2018 年 9 巻 2 号 p. 125-128
術後肝不全や多臓器不全で問題となる高ビリルビン(Bil)血症に対して,単純血漿交換療法やBil吸着法,plasma filtration with dialysis療法などが施行されているが,選択的血漿交換(SePE)に関する報告は少ない。今回高Bil血症を呈するTAFRO症候群の1例に対しエバキュアープラスEC-4Aを用いたSePEを施行した。このBilの除去率について検討したところ,総Bil,抱合型Bil,非抱合型Bilの篩係数(SC)の経時的変化は1,000~4,000mLの観察範囲では少なかった。治療中の平均SCは,総Bil 0.81±0.02,抱合型Bil 0.90±0.01,非抱合型Bil 0.49±0.06であり,総Bilの低下率は40%であった。凝固因子を保ちながらAlb置換で施行可能なSePEは,Bil除去の一つの選択肢になりうる可能性が示唆された。