2018 年 9 巻 1 号 p. 36-38
【背景】劇症型溶血性レンサ球菌感染症(Streptococcal toxic shock syndrome: STSS)は発病から急激に病態が進行し,死に至る重篤な感染症である。Streptococcus pyogenesが産生する発熱毒素により高サイトカイン血症となり,ショックを呈する。【症例】65歳,女性。4日前より38度台の発熱と腰痛が出現した。肝機能障害や腎機能障害も認め,入院した。qSOFAの2項目を満たし敗血症を疑い,補液やノルアドレナリンを投与したが,循環動態は改善しなかった。血液培養よりA群レンサ球菌が検出されSTSSと診断し,敗血症性ショック,急性腎障害に対してAN69ST膜を用いたCRRTを開始した。CRRT開始後より血圧は上昇し,ショックを離脱した。【結論】サイトカイン吸着能を有するAN69ST膜を用いたCRRTは,STSSに対して循環動態の改善に有効であると考えられたが,さらなる検討が必要である。