日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
解説
多職種,多分野で急性血液浄化療法における医療安全文化を構築,発展させるために
宮崎 真理子藤倉 恵美山本 多恵吉田 舞福士 太郎山田 元中道 崇佐々木 俊一小松 亜紀小林 淳阿部 俊宏田畑 雅央
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2018 年 9 巻 1 号 p. 10-17

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抄録

医療安全は医療機関の責務として法的にも定められている。しかし,血液浄化療法は急性であっても慢性的な維持治療であっても,すべてのプロセスで医療事故の発生要因を有する医療行為といえる。機器の改良や手順の改善は事故の頻度や被害を小さくすることはできても,事故を皆無にすることはできない。とくに急性血液浄化療法を要する患者は重篤で変化が早く,複数の生命維持デバイスが使われることも多い。さらに,多職種,多領域の医療者が,各自の専門的な視点でかかわる診療体制では,病状の理解や情報共有に細心の注意が必要である。これらが急性血液浄化療法における医療安全上の課題である。したがって,急性血液浄化療法を実施する組織は,職種や専門領域の枠を超えて教育や検証活動ができ,メンバーがフラットに意見交換ができる環境,事故発生時には,機敏で柔軟に対応する行動力や再発防止策を立てる体制を整えた高信頼性組織として機能する必要がある。

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© 2018, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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