2015 年 6 巻 1 号 p. 10-16
急性期血液浄化においては循環系の安定,腎機能の維持などが重要となる。このため,On-line HDFを急性期に応用するには,ICUにおける水質管理,CRRTとしての持続的使用と効率を制御する調節性が必要である。当院でのOn-line CHDFの経験から最大の問題点は水質管理であり,ICUにおける個人用透析装置,長時間持続使用や非定期的な使用という特殊条件下で原液ラインの滅菌など清潔操作の徹底,非稼働時の定期的洗浄などの対策により水質を維持している。持続的な使用については炭酸カルシウムの析出が大きな問題である。連続運転時間の制限と酸洗浄の徹底と濃度変更により現在は安定して稼働しているが,メーカーの保障はなく,今後も透析装置の長時間使用に関する検討が必要である。調節性はバイパス回路を含む特殊回路を用いることにより非常に広い範囲での調節性が確保される。On-line CHDFはコスト,マンパワーを節約しつつ広範囲の急性期血液浄化に対応できるシステムである。