日本助産学会誌
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原著
新生児清潔ケアの実態とケア選択の探索
—混合研究法を用いて—
細坂 泰子茅島 江子抜田 博子
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2015 年 29 巻 2 号 p. 240-250

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抄録

目 的
 全国産科施設における新生児清潔ケアの実態と,助産師の新生児清潔ケアに対する思いやケアを実践することの助産師なりの意味づけを混合研究法により明らかにすることである。
対象と方法
 混合研究法の説明的デザインを用いた。量的データは確率比率抽出法に従い全国の産科施設256施設から自記式質問紙を回収した。項目は属性,日数別の清潔ケア,ケア実施時間等とし,Pearsonの相関係数,多重ロジスティック回帰分析で清潔ケアの関連要因の分析を行った。質的調査は,新生児清潔ケアを実践している助産師5名を対象に半構造化面接を実施し,逐語録から質的・帰納的に分析した。
結 果
 全国横断調査結果では出産当日はドライテクニック(65.3%)が,生後1日目以降は沐浴(67.9~92.2%)がもっとも多かった。沐浴は9.7分,ドライテクニックは0.8分の所要時間が必要で,沐浴に多くの業務時間が必要であることが示された。多重ロジスティック回帰分析では関東地区は近畿地区に対して2.1倍(p<0.05),看護師数と助産師数の増加でどちらも1.1倍(p<0.05,p<0.01),ドライテクニックを選択する確率を高めた。
 質的調査から“新生児を中心に考えた清潔ケア”,“親を中心に考えた清潔ケア”,“医療者の負担を考えた清潔ケア”,“ゆらぐ新生児清潔ケア”の4つのカテゴリーが抽出された。
結 論
 混合研究法の結果から,清潔ケアの決定には看護師数と助産師数および地区が関連することが明らかとなった。助産師は新生児の負担や汚れなどのアセスメントから清潔ケアを決定しつつ,新生児と親を意識して新生児と関わっていた。清潔ケアは沐浴の時間的負担や現在までの習慣や文化,施設の規定によっても決定されていたが,実際にケアにあたる助産師の思いは,沐浴かドライテクニックかの選択でゆらいでいることが示唆された。

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© 2015 日本助産学会
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