日本細菌学雑誌
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総説
宿主防御と病原体感染の攻防の場としての細胞骨格系
四宮 博人
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2007 年 62 巻 2 号 p. 279-293

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抄録

細胞骨格は細胞の形態を維持する上で重要なばかりでなく, 細胞内外からのシグナルに応答してダイナミックに変化し, このような細胞骨格の再構成は, 種々の細胞活動を支える重要な役割を果たしている。しかし, その応答・制御機構や3次元的構築機構には不明な点も多い。我々は, 白血球のアクチン細胞骨格の再構成に関与するタンパク質p65/L-plastinを同定し, その構造と機能および生体防御における役割について研究を進めてきた。細胞骨格が感染防御の様々な局面において重要な役割を果していることを示す分子レベルでの知見が集積しつつある。一方, 宿主に病気を起こす病原菌は特殊な戦略を有しているが, その中には宿主細胞の細胞骨格を標的とし, その機能を撹乱するものも少なくない。生体防御の発動と病原体の感染成立の両面に関与する細胞骨格系は, 感染の攻防のメカニズムを理解する上で極めて重要である。

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© 2007 日本細菌学会
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