日本細菌学雑誌
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Treponema Pallidum菌体成分感作炭素粒子を抗原とする梅毒血清診断法
粟野 林
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1972 年 27 巻 4 号 p. 585-591

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抄録

木炭(ブナ)から精製した直径約5∼10μの炭素粒子に,音波処理で得られた病原性Treponema pallidum (TP)菌体成分を吸着させたものを抗原とする間接凝集反応による梅毒血清診断法を考案し,その反応条件の検討を行なつた。
このTP感作炭素粒子抗原を,TP Reiter株菌体成分感作粗大炭末で吸収した梅毒血清や梅毒ウサギ血清,あるいは梅毒血清から分画したγグロブリン,βグロブリンの溶液に混合すると,22Cで約30∼40分後に反応試験管管底に特徴的な抗原抗体結合物の集積像が形成され,肉眼的に判読が可能であつた。
本抗原は吸収処理を行なつたヒトまたはウサギの非梅毒血清とは全く反応せず,管底に沈殿して抗原膜を形成するのみで,集積豫は形成しなかつた。
本法は反応時間が短いこと,反応液に血清や高分子化合物を濃厚に加える必要がないため,特異性が高いことが特徴であると思われる。

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