2024 年 66 巻 5 号 p. 240-244
本邦をはじめとする世界各国の規制機関は,国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告する放射線防護体系に準拠し,低レベル放射線への被ばくに伴うがんなどの確率的影響のリスクに対し,実効線量に基づく被ばく管理を求めている。実効線量は,放射線デトリメント(放射線被ばくに伴う損害)に基づいて,臓器・組織による確率的影響の生じやすさの違いを考慮した線量である。本稿では,ICRP次期主勧告での放射線デトリメント算出に向けて基礎的検討事項をまとめたICRP報告書の概要を解説するとともに,関連動向を紹介する。