2021 年 63 巻 7 号 p. 517-522
確率論的リスク評価(PRA:Probabilistic Risk Assessment)は合理的かつ定量的にリスクを評価する強力な手法である。しかしながら,PRAを実践しつつ,得られた結果を分析し,さまざまな意思決定に活用する上では,多様な分野の専門的な知識や技術,経験を必要とする。原子力施設のリスク評価においては,シビアアクシデントに至る過程やその進展を評価することが不可欠であり,それらに強く関連する熱流動は,PRAにおける重要な専門分野の一つである。本稿では,軽水炉のレベル2PRAにおけるソースターム評価および再処理施設のシビアアクシデント時ソースターム評価を中心に,リスク評価における熱流動解析の役割について概説する。