2011 年 53 巻 9 号 p. 643-648
我が国最初の商用BWR発電所として,敦賀発電所1号機(以後,敦賀1号)は昭和44年に試運転を開始したが,当初より1次冷却系の腐食に起因する放射線量率の上昇,燃料健全性への影響等の,いわゆるクラッド問題が発生し,この対策に全力をあげて取り組むこととなった。1次冷却系材料の腐食を抑制すること,原子炉内へのクラッド持込みを抑制すること等,水化学面からの改善対策を実施した。その結果,昭和50年代半ばにはクラッドの発生は大幅に減少し,BWRクラッド問題解決の技術的基盤を構築することができた。敦賀1号で得られた水化学改善の成果は,その後のBWR発電所の運営に反映され,今日の水化学技術の礎となった。