放射性廃棄物核種の核変換研究に端を発して, マイナーアクチニド核種や長寿命核分裂生成核種の核データに関する研究が世界的に活発になっている。これら核種の核データが整備されると, 中性子輸送計算技術の進捗と相まって核変換システムの定量的な評価が可能となり, 核変換システムの実現に向けて大きな意味を持つ。これまで, 対象核種は長寿命の放射性核種が重点的に研究され, それは現在, 重要テーマとして進行中であるが, 核変換システムのように強力な中性子場で照射する場合は, 中性子をさらに捕獲することにより生成する高次核種の核変換システムへの影響も顕著となり得る。高次核種の多くは, 寿命が短いために比放射能が高く測定が困難であった。我々は, 2重中性子捕獲反応の適用に着目し, ガンマ線分光法により, 半減期が約2日と短い238Npの中性子捕獲断面積測定に成功した。本研究の背景, 結果や今後の展望について記す。