塩化物水溶液におけるアルミニウム合金の孔食に及ぼす硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの影響を動電位分極曲線を用いて調査した.カソード分極曲線において,硫酸イオンと亜硫酸イオンの濃度が等しい場合,溶存酸素還元の限界電流は硫酸イオンの方が大きく,水素イオン還元の限界電流は亜硫酸イオンの方が大きかった.孔食電位は硫酸イオンおよび亜硫酸イオン濃度とともに貴化し,自然電位は硫酸イオン濃度によらずほぼ一定で,亜硫酸イオン濃度とともに貴化した.このため,孔食電位と自然電位との差は,硫酸イオン濃度とともに広くなり,亜硫酸イオン濃度ともに狭くなった.以上から,アルミニウム合金の孔食に対し硫酸イオンは孔食抑制剤として働き,亜硫酸イオンは孔食促進剤として働く.