日本医真菌学会雑誌
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Malasseziaと脂漏性皮膚炎・アトピー性皮膚炎
田嶋 磨美
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2005 年 46 巻 3 号 p. 163-167

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抄録

Malasseziaは皮膚の常在菌で,瘢風,マラセチア毛庖炎,脂漏性皮膚炎(SD),アトピー性皮膚炎(AD)などの皮膚疾患の原因や増悪因子として考えられているが,各々の疾患とMalassezia菌種との関連については未だ不明な点が多い.今回はSD,AD患者のMalassezia菌相をPCRによる非培養法を用いて解析した.AD,SDともに健常人とほぼ同様にM. globosa, M. restrictaが高頻度に検出され,菌種数は健常人に比べ多様化する傾向を示した.今回は難治性AD患者20例に,従来の外用治療に2%ケトコナゾールクリームを重ね塗りした際の治療効果および,Malasseziaの菌量の変化について検討した.その結果,2%ケトコナゾールクリーム外用によるMalasseziaの除菌率は90%以上で,臨床効果も70%以上が有効であった.In vitroでは,アゾール系抗真菌薬とタクロリムスの同時投与がMalasseziaに対する抗菌作用において相乗効果を示すことが判明した.そこで頭頚部の難治性AD患者を対象に,両薬剤の併用治療による菌量と臨床症状について検討した.その結果,タクロリムス外用患者9症例中6例(66.6%)に有効であった.以上のことからMalasseziaはADの増悪因子の1つであり,除菌により臨床症状も改善することが示唆された.

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