本研究は、園環境のうちの特に場を子どもの視点で捉え直し、子どもが「好きな場所」とする場の特性やその理由等を問うことで、子どもが場を意味づける際の関連要因や「好きな場所」と意味づける構成要素を明らかにすることが目的である。研究協力者3~5歳児 81名に、園内の好きな場所、よく遊ぶ場所、秘密の場所を案内してもらい、写真投影法により得られた画像データ 396枚とインタビューによる言語データから、「好きな場所」を意味づける関連要因、場への意味づけの表現方法の二点から質的に分析した。その結果、幼児が「好きな場所」と意味づける 11の概念が抽出された。「好ましい」と感じる人や物の存在、環境のつくりや体感したことの好ましさ、好ましい情動体験が蓄積し、そうした体験に埋め込まれた形で意味が生成され、保育環境が、かけがえのない固有の「生きられる空間」となると考察する。