松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
免疫グロブリン大量療法,ステロイドパルス療法に不応で,血漿交換療法が有効だった川崎病の1 例
掛江 荘輔辻 靖博岡本 学田中 雄二倉信 裕樹橋田 祐一郎美野 陽一
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2019 年 22 巻 1 号 p. 88-91

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抄録

症例は4 歳女児.熱発3 日目,川崎病症状5/6 項目を認め当院救急外来に受診した.第4 病日に川崎病と診断し,静注用免疫グロブリン:intravenous immunoglobulin(IVIG)大量療法とアスピリン内服を開始した.第5 病日も発熱持続したためIVIG 追加投与を実施した.一旦解熱したがすぐに再度発熱した.第7 病日に静注用メチルプレドニゾロンパルス:intravenous methylprednisolone(IVMP)療法を行ったが,症状不変で治療抵抗性を認めた.第8 病日に血漿交換:plasma exchange(PE)の適応を検討するため 高次専門医療施設へ転院となりIVMP 療法を継続されたが,症状悪化ありPE 実施可能施設へ搬送となった.第9 病日より6 回のPE が施行された後,解熱を認め症状軽快した.経過中に冠動脈病変:coronary artery lesion(CAL)は認められず退院となった.PE はIVIG 不応例に有効であるとされるが,CAL 形成前の早期に開始されるべきであり,不応例の予測と早期搬送を念頭に置いた治療計画と高度な小児専門医療が可能な医療機関との連携が重要である.

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