2017 年 21 巻 1 号 p. 36-41
本研究の目的は当院で実施した心肺運動負荷試験のプロトコールの問題点を明らかにし,改善方法について検討することである.方法:2014 年7 月から2016 年8 月に当院で初回に心肺運動負荷試験を実施した心疾患患者65 例を対象として,総運動時間,嫌気性代謝閾値(AT)までの運動時間を検討した.結果:総運動時間は,全例が12 分以内,6 分未満であったのは65 例中18 例(27 %)で,高齢になるほど増加傾向であった.AT までの運動時間は,3 分未満であったのは65 例中2 例(3 %)で年齢差は認められなかった.筋肉量は,それぞれ総運動時間及びAT までの運動時間と有意な正の相関関係が見られた.結語:総運動時間が6 分未満の症例が全体の27 %に認められ、全例が50 歳以上であった.AT までの運動時間は97 %の症例が3 分以上でありAT の評価には適切な負荷量が選択されていたと考えられたが,心疾患を合併する高齢者で十分な総運動時間を得るためには筋肉量やWasserman らによる計算ランプ負荷量を参考にしながら適切な負荷強度を設定することが有用で,低強度の負荷の工夫も必要であると考えられた.