日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第56回日本小腸学会学術集会
セッションID: S1-1
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シンポジウム1 治療法未確立の難治性小腸疾患に対する挑戦
当院におけるChronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene(CEAS) 症例の特徴
*細江 直樹木村 佳代子高林 馨長沼 誠關 里和久松 理一緒方 晴彦金井 隆典
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抄録

【目的】

chronic enteropathy associated with SLCO2A1(CEAS)の臨床兆候は、本邦から報告されており(J Gastroenterol. 2018 Aug;53(8):907-915)、我々もその疫学研究に参加した。本疾患が広く認知されるにつれて、当院でCEASと診断される症例も増加しつつあり、今回当院でCEASと診断された症例の検査所見、臨床兆候をまとめ本疾患の特徴を明らかとする。

【方法】

当院で2018年7月までにCEASと診断された6例の臨床兆候(性別、発症年齢、罹患期間、家族歴の有無、肥厚性皮膚骨膜症の有無)、小腸生検検体を用いた抗SLCO2A1抗体による蛋白発現検査、小腸病変の部位、内視鏡所見の特徴を収集する。

【結果】

6例は、男女比 4:2、平均発症年齢14.3歳、平均罹患期間29.7年であった。4例で小腸潰瘍症の家族歴を有した。男性1例で肥厚性皮膚骨膜症を認めた。5例で抗SLCO2A1抗体による蛋白発現検査を行ったが、全例で蛋白発現を認めなかった。十二指腸病変を5例、空腸病変を1例、回腸病変を6例全例で認めた。内視鏡で観察された小腸潰瘍所見は、多発(6例)、斜走(6例)、輪状、テープ状(5例)、地図状(4例)、狭窄(6例)であった。

【結論】

我々の症例は、既報とほぼ同様の臨床兆候であった。抗SLCO2A1抗体による蛋白発現検査がCEAS患者選別検査になりうる可能性が示唆された。

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© 2018 本論文著者
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