2019 年 62 巻 p. 53-60
長時間にわたる列車内閉じ込めは、体調不良を訴える乗客が発生するだけでなく、乗客の不満感、不安感(以下「心理状態」とする。)を悪化させる恐れがある。本研究では、鉄道利用者379名を対象に長時間にわたる列車内閉じ込め場面を想定したアンケートを実施し、列車内に閉じ込められた乗客の心理状態(不満感、不安感)などを分析した。列車内閉じ込めの原因として、電力トラブル、大雪、踏切事故、地震の4種類の原因による列車内閉じ込めを想定した結果、不満感については大雪や地震といった自然災害では低く、事業者の責任ととらえがちな電力トラブルでは、高くなった。一方、不安感については地震が他の事象よりも高くなった。また、車内放送やトイレに加え、スマホに関する項目は、乗客の心理状態に影響を与えることが分かった。