自閉症スペクトラム研究
Online ISSN : 2434-477X
Print ISSN : 1347-5932
原著
自閉症児における授与動詞構文の指導
自己動作を用いた指導方法の効果の検討
朝岡 寛史岡村 章司渡部 匡隆
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2015 年 12 巻 2 号 p. 5-12

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抄録

本研究では、自己動作の効果を明らかにすることを目的に、自閉症児1 名を対象に授与動詞構文の指導を行った。研究開始前、2 ~3 語文の発話が多く観察されていた。また、使用頻度は少ないが助詞が含まれた発話も生起していた。実態に基づき、二者が受け渡しをする刺激文を読み、適切に行動することを標的とした。プレ・ポストテストでは、二者間で受け渡しをする動画刺激を呈示した直後に、対象児は「わたす」または「もらう」の動詞カードを文末に置いた。指導1 期では、対象児とST の二者間でぬいぐるみの受け渡しを行った。対象児は呈示された刺激文に応じて自己動作した。指導2 期では、ST1 名を追加して三者間で受け渡しを行った。指導1 期に加えてST 同士の受け渡しが含まれていた。その結果、指導期において標的行動の正反応率に上昇傾向がみられた。また、プレテストと比較してポストテストで正反応率が上昇した。以上の結果から、標的行動の獲得を促進する上で、自己動作を用いた指導方法の効果について考察した。

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© 2015 NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
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