弘前医学
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症例研究
トシリズマブが奏功した難治性小児高安動脈炎の女子例
藤田 円湯澤 健太郎三浦 文武相澤 知美嶋田 淳北川 陽介渡邊 祥二郎津川 浩二敦賀 和志丹代 諭大谷 勝記田中 完高橋 徹伊藤 悦朗
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2019 年 70 巻 1 号 p. 56-61

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抄録

小児期発症の高安動脈炎 (TA)に対し IL-6受容体抗体であるtocilizumab (TCZ)を使用した報告は少なく, 加えてTA症例に対して冠動脈バイパス術 (CABG)を施行した症例も稀である. 症例は11歳女子. 反復する胸痛, 心臓超音波検査で大動脈弁閉鎖不全, 心電図で ST低下, 血液検査で CRP上昇と赤沈亢進, トロポニンT陽性, CTで左冠動脈開口部の狭窄を認め TAと診断した. ステロイド薬, 各種免疫抑制剤薬, 抗TNFα抗体のインフリキシマブを併用しても寛解が得られなかった. 倫理委員会承認後に TCZの点滴投与を行い, 速やかに症状と検査所見の改善を認め, ステロイド薬を減量・中止した. TCZ使用に伴う有害事象は認められなかった.炎症が鎮静化後,左冠動脈開口部 99%狭窄に対してCABGが施行され術後の経過は良好である. 本邦でも成人領域において難治性のTAに対するTCZ皮下注射製剤が適応となった. 今後, 小児例においても適応の拡大が期待される.

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© 2019 弘前医学編集委員会
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