西日本社会学会年報
Online ISSN : 2434-4400
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就労を通じた若者の社会的包摂のプロセスに関する考察
―地域若者サポートステーション事業利用経験者の語りから―
金本 佑太
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2020 年 18 巻 p. 73-88

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抄録

本稿では、地域若者サポートステーション(以下、サポステ)事業を利用し就労を達成した若者を対象に、彼らの就労困難からサポステ利用、そして就労達成から現在に至るプロセスを検討した。無業の若者はサポステの支援を受け、徐々に支援者との信頼関係を構築した。そこから、「今後も何かあれば周りを頼っていく」という認識を獲得した。そして彼らは、就労達成後も他者を上手く頼りながら働くことで、それを実践していた。彼らの利用したサポステ岡山では、それぞれの若者の状況に適したアプローチで支援を行っており、それが若者との信頼関係の構築につながったと考えられる。

こうしたプロセスは、若者が無業からサポステ利用当初に持っていた「できる限り自力で問題に対処する」という日本的な自立観とは距離をとり、主体的に他者を頼っていけるようになったプロセスとして把握できる。そして、そのプロセスにつながったサポステ岡山の支援は、就労を通じた若者の社会的包摂を促す機能を果たしていると考えられる。

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