道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
肺がん患者への術後合併症予防を目的とした分岐鎖アミノ酸強化食品の使用について
竹内 理絵中釜 郁浅地 菜々子表 俊輔汐谷 あずさ上原 浩文多田 周大湯 岳
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2022 年 5 巻 1 号 p. 28-32

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抄録

〈はじめに〉肺がん患者では、呼吸筋のエネルギー代謝亢進の影響で呼吸筋が減少することにより呼吸状態の悪化・免疫力の低下などが引き起こされ、感染症発症のリスクが高まりやすい。この際、呼吸筋で優先的に代謝されるものが分岐鎖アミノ酸(BCAA)である。BCAA には筋たんぱく質の異化を抑制し呼吸筋を維持する働きがあると言われており、さらにリハビリテーションとの併用による術後合併症予防効果が期待されている。〈目的・対象〉2021年8月より、呼吸器外科に入院の呼吸器外科術前リハビリパス適応患者を対象に、術後合併症予防を目的とした分岐鎖アミノ酸強化食品の使用を開始した。当パスは、肺気腫を有する患者など低肺機能の肺切除予定患者を対象としており、2019年末から開設されている肺がん・呼吸器病センターにて治療方針決定の段階から多職種が介入し症例検討・評価が行われ対象者が抽出されている。〈運用方法〉入院当日に病棟担当管理栄養士が対象患者に対し分岐鎖アミノ酸強化食品の使用の目的・摂取方法・摂取のタイミング(リハビリ後)等を説明、パンフレット・摂取チェック表を配布し、翌日から使用する流れとした。分岐鎖アミノ酸強化食品を摂取困難である患者や中断した患者については、他の栄養補助食品を検討する対応としている。また、病棟やリハビリテーション科の協力を得て、リハビリ後の分岐鎖アミノ酸強化食品の摂取状況の把握等も連携して行っている。今回、この取り組みの概要や経過について報告する。

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