2020 年 39 巻 1 号 p. 70-78
壮年期あるいは中年期に脳卒中を発症した人(以下,壮・中年期脳卒中発症者)が麻痺側上肢の不使用に至るプロセスを,その語りから明らかにすることを目的とし,麻痺側上肢の不使用に至った壮・中年期脳卒中発症者8名の語りを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチに準拠し質的に分析した.分析から20概念,4サブカテゴリー,4カテゴリーが生成され,壮・中年期脳卒中発症者が麻痺側上肢の不使用に至るプロセスは,周囲の人との社会的相互作用の中で,【発症前との比較】を行いながら,非麻痺側上肢を用いて【役割を担える自分の回復】に成功する一方,麻痺側上肢に対し【まだ使えない手という認識の深まり】を促進するものであると示された.