2012 年 13 巻 2 号 p. 59-64
消費生活用製品において消費者の使い方が原因となる事故を防ぐためには,使い方の予見を遺漏なく行うことが重要である.しかし一般に用いられる ISO/IEC Guide51 のリスクアセスメント手順では,事故に直結しない低リスクの使い方までを予見することを求めるため,設計者に負担をかけてしまうことや,使い方予見の適切な支援方法がなく,予見に漏れが生じてしまいがちという問題がある.そこで本研究では Sabotage Analysis の考え方を用い,高いリスクに直結する使い方に焦点をあてるリスクアセスメント手順と,ペルソ ナ手法を用いた使い方予見の支援の提案を行った.提案した方法の試用実験を行い,さらに,提案方法のテキストブックを作成し企業の実務者に提供し,利用可能性に関する調査を行った.その結果,実務的に有益な方法であることが期待された.