日本ハイパーサーミア学会誌
Online ISSN : 1881-9516
Print ISSN : 0911-2529
ISSN-L : 0911-2529
早期胃癌に対するLaserthermiaの可能性
青木 純嶋海 裕之三輪 剛鈴木 荘太郎
著者情報
キーワード: 早期胃癌, 内視鏡治療
ジャーナル フリー

1994 年 10 巻 2 号 p. 103-109

詳細
抄録

1975年から1993年3月までに, 70例82病変の早期胃癌に対して内視鏡治療を施行した. 1.0cm以下の30病変は, いかなる内視鏡治療法を用いても局所根治を得られたが, 1.0cmを越える52病変では, m癌で39病変中8病変・20.5%, sm癌で13病変中5病変・38.5%, 計52病変中13病変・25%に遺残を認め広範囲m癌やsm癌に対する内視鏡治療の限界を感じざるを得ない. 我々の開発したLasertherniaは, 基礎的検討おいてsm~pnにまで効果がおよぶことが確認されている. さらに, ヌードマウスにおける移植ヒト胃癌の検討で化学療法 (5-FU) との併用による相乗効果が示唆されている. 以上よりLaserthermiaは化学療法との併用によりsm癌に対する治療効果が期待できると考え, 1989年より臨床応用を開始した. 1989年以降の治療方法は, 広範囲m癌に対しては可能な限りEMRを繰返し, 遺残を認めた場合はlaser照射などを併用する. sm癌に対しては, 全身的な化学療法を行いつつLaserthermiaを中心とした内視鏡的併用療法を施行する。その結果, 1989年以降の1.0cmを越える病変の遺残率は, m癌の場合30病変中4病変・13.3%, smの場合では8病変中1病変・12.5%と減少しており, Laserthermiaのsm癌に対する治療法としての可能性が示唆された.

著者関連情報
© 日本ハイパーサーミア学会
次の記事
feedback
Top