超音波医学
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総説
整形外科領域の超音波の基礎
瀬本 喜啓岸本 郁男大辻 トミ子
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ジャーナル 認証あり

2011 年 38 巻 3 号 p. 255-265

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抄録

超音波検査法は,手軽で非侵襲的に軟部組織や骨組織の診断が行える方法として,整形外科領域における有用な補助診断法となった.肩関節や乳幼児の股関節はもとより,軟部組織の損傷や腫瘍などの領域では,広く日常の外来診療に使用されている.2006年には日本超音波医学会専門医に整形外科領域が設けられた.最近では人工股関節置換術や脊椎の手術時に起り易い深部静脈血栓の術前・術後診断にカラードプラ法が用いられるようになり,またリウマチ性疾患の診断基準や薬剤の効果判定にパワードプラ法が用いられるなど,学会・研究会などで血管外科や内科など他科の医師と論議することも多くなっている.整形外科領域における超音波検査の歴史は他科と比べればまだまだ浅く,今後各部位や疾患の検査目的に適した超音波機器の開発が望まれる.現在の所,超音波画像は1枚の静止像としてみればやや不鮮明である感は免れない.しかし,実際には患部を種々の角度から,また筋肉や関節を動かしながら観察するものであり,これによって診断に役立つ多くの所見が得られる.今後,超音波診断法は,X線やMRIに変わるものとしてではなく,それらとは質の異なる検査法として,外来診療に手軽に用いることの出来る診断法として益々発展するものと考える.

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© 2011 一般社団法人 日本超音波医学会
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