水文・水資源学会誌
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原著論文
小型UAVとSfM-MVSを使用した近接画像からの水稲生育モニタリング
濱 侃早崎 有香望月 篤鶴岡 康夫田中 圭近藤 昭彦
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2016 年 29 巻 1 号 p. 44-54

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抄録

 ラジコン電動マルチコプターは,カメラやセンサーを搭載し,小型UAVとして近接リモートセンシングにおけるプラットフォームとして利用可能で,環境研究や実利用に関するさまざまな応用が考えられるようになった.近接リモートセンシングの課題の中で,農作物の生産管理は重要な課題の1つである.これまで日本の基幹作物である米においては,広域リモートセンシング(衛星,航空機)を活用し,生育量,収量,食味判定などの推定,予測が行われているが,雲量による観測確実性の低下,運用コストが課題である.そこで本研究では,水稲の生育モニタリングについて小型UAV,SfM-MVSの併用による,高い時間および空間分解能の空撮画像の取得に基づく詳細な生育状況モニタリングを試みた.NDVIの観測結果から,栽培条件を変えた区画ごとの生育状況の差が詳細かつ明瞭に観測され,追肥量の調整などの生育管理の可能性を示すことができた.また,SfM-MVS技術で作成可能な3次元地表面モデルを用いた群落高計測,NDVIを用いた生育量推定および倒伏予測モデルでは,生育状況の実測にUAVを用いた本研究の手法を代用できる可能性が示唆された.

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© 2016 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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