2008 年 21 巻 2 号 p. 212-216
今回われわれは,新規のPAX2遺伝子異常を有し,精神発育遅滞を伴った腎コロボーマ症候群の1例を経験した。13歳時に,すでに軽度な腎機能低下と中等度の蛋白尿を認めていた。腎生検では,メサンギウム基質の増加と糸球体虚脱,糸球体周囲の繊維化,尿細管基底膜の肥厚や萎縮,間質の細胞浸潤と繊維化を認め,腎コロボーマ症候群に合致する所見であった。両眼ともにコロボーマを認めた。PAX2遺伝子解析を実施したところ,エクソン3の130番目のプロリンがヒスチジンに変化する新規のヘテロの変異を認めた。観察開始後,約5年間で腎機能はほぼ廃絶状態に達しており,最近,血液透析に移行している。