2007 年 20 巻 1 号 p. 67-70
溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (PSAGN) を反復したと考えられた症例を経験した。
症例は14歳,男児。平成15年11月にPSAGNと診断され入院加療の結果改善し,その後の学校検尿では異常を指摘されていなかった。平成18年6月に再びPSAGNと診断され,精査目的で当科に紹介となった。PSAGNとして非典型的な経過と考えられ,確定診断を得る目的で腎生検を実施した。光顕標本ではびまん性管内増殖性腎炎に合致する所見であり,組織所見などからPSAGNに矛盾しないと考えられた。現在,尿蛋白は0.5g/日程度まで減少し,血清補体値の回復もみられている。PSAGNの反復例の報告は少なく,比較的稀な症例と考えられた。Watanabeらは,PSAGNの反復症例において,腎炎惹起性抗原であるNAPlr抗原に対する抗体が血清中にみられないことを報告しており,本症例も同様である可能性が考えられた。