1998 年 11 巻 1 号 p. 109-112
IgA腎症4例に対して,携帯型微量注入ポンプにてヘパリン持続静注を長期に行いながらステロイド剤,免疫抑制剤,抗血小板剤などを組み合わせた多剤併用療法 (カクテル療法) を施行した。治療開始から平均14カ月後には全例に尿所見の改善と,再生検した症例では組織所見の著明な軽快を認めた。治療中に紫斑を認めた例があったが,ヘパリンを減量して消失した。今回私たちが使用した携帯型微量注入ポンプは,小型で軽量であり,患者の日常生活での拘束がほとんどなく,長期間の使用に適していた。ヘパリンは,抗凝固作用だけでなく,様々な抗腎炎作用を持っており,長期間のヘパリン持続静注を併用したステロイド療法やカクテル療法は有効な治療方法と思われる。