日本ファジィ学会誌
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不完全特徴量の統合による顔の向きの実時間推定
田野 俊一伊藤 大介
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2002 年 14 巻 3 号 p. 287-298

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抄録

ジェスチャや視線などの動作を元に人間の「戸惑い」などの思考状態を推定することができる.本研究では,(i)認識対象として,動作の基本であると考えられる頭部前面,すなわち顔の向きに特化し(ii)不完全ではあるが,お互いに補完関係にある複数の単純で高速なアルゴリズムの結果を統合することにより,顔の向きを,一秒間に数回,誤差5度程度で認識可能とする簡便なアルゴリズムを開発した相補性が発揮できる最小限の組み合わせとして,垂直微分画像の水平積算投影値の垂直方向分散,入力イメージの左右対称性,色調分布情報の3つの特徴量を用いたアルゴリズムを提案し,その特性,相補性を実験により検証した.次に,得られた相補性を元に各アルゴリズムの出力データの統合方式を定めた.統合方式では,中央値の補正や,符号情報の補正,加重平均による補正,単純平均による補正を用いた.実験により,単純な3つの不完全アルゴリズムを統合することにより,顔の上下方向,左右方向の毎秒2回程度のリアルタイム検出が一般のパソコンで実行可能であり,また,統合によって誤差が減少することが実証された.

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© 2002 日本知能情報ファジィ学会
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