日本ファジィ学会誌
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ファジィ区間データに基づく近似的ベイズ回帰分析
吉川 伸一奥田 徹示浅居 喜代治
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1999 年 11 巻 4 号 p. 616-639

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抄録

本論文では、区間の境界があいまいな区間データをファジィ区間データと呼んでおり、それを用いた近似的ベイズ回帰分析の手法を提案している。ここでは、Zadehの定義したファジィ事象の確率概念を用いて、ファジィ区間データに基づく近似的ベイズ回帰分析を定式化している。ただし、与えられたファジィ区間データのメンバシップ関数を直接的に利用する手法すなわちメンバシップ関数を正確に取り扱う手法では、計算が煩雑・複雑になり、実行が容易でないことなどの問題がある。しかし、われわれの提案するメンバシップ関数の中心値を代表値として取り扱う手法では、それらの問題を解決することができる。本論文では、ファジィ区間データがk次元正規母集団のもとで発生し、かつ回帰係数βのn次元事前分布がn次元正規分布であるならばベイズの定理に基づくβの事後確率分布が近似的にn次元正規分布として導かれる。その結果、ファジィ区間データが与えられたときでも、通常のベイズ回帰分析とさほど変わらないベイズ回帰分析を示すことができる。また、実際にファジィ区間データが与えられる状況では、つねに理想的な左右対称型のメンバシップ関数でファジィ区間データを表現できるとは限らないので、台形型メンバシップ関数の左右対称型を完全には満足しない状況でシミュレーションを行い、本手法の実用性を検討した。その結果、本手法の実用性を示すことができた。

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© 1999 日本知能情報ファジィ学会
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