コンクリートダムの歴史は古く, 我が国に限ってもおよそ100年となる。既設ダムの補強は海外では多く実施されており, また我が国でも少数ながら事例がある。コンクリートダムの補強目的の内, 阪神大震災以後いわゆるレベル2地震に対する耐震補強が注目されている。その補強方法については種々の方法があり得るが, ここでは日本では実績のないグラウンドアンカーによる補強事例を報告する。グラウンドアンカーを用いたダムの補強は筆者らの長期にわたる滞米調査や資料調査によると数百件に及んでいる。その中から特に耐震補強の事例を紹介する。