コンクリートの摩耗研究は, “水セメント比説” 以前にすでに始まり現在も活発に発表されている, 古くも新しくもあるテーマである。この間, 多くの研究者がさまざまな試験装置を用いて検討を行っているにもかかわらず, それほど目覚ましい成果が出ていない分野である。この原因の-つに摩耗の複雑性および曖昧性が挙げられる。本解説では, まず摩耗の複雑性あるいは曖昧性を解消するためにトライボロジ的整理を行い, そのうえで既往の研究成果を総括し, それぞれの摩耗試験法の適用法やそれらが有している問題点などについて解説する。