日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年科外来患者の他科受診と多剤服用の実態
村井 淳志松本 光弘
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1993 年 30 巻 3 号 p. 208-211

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抄録

老年患者は1人で多数の疾患をもち, 多数の薬剤を服用していると推定されるが, その実態はよく分っていない. そこで老年科外来を定期的に受診している60歳以上の老年患者192人に対して直接質問し, 実態を調査した. 全患者の41%, 79人が同時に他科を受診しており, 受診科としては家庭医を除くと眼科, 整形外科, 泌尿科が多かった. 他科受診者の81%, 64人はその科でも投薬されていた. 主治医の投薬以外に21%, 40人の患者が主治医に断りなく一般用医薬品 (大衆薬) を服用しており, そのうちの24人は漢方薬を服用していた. 外来診療の範囲内で60歳以上の老年科外来患者がもつ疾患数を調べたところ, 1人あたり1~10, 平均値は男3.6, 女3.5であった. また当科外来での投薬数は0~10, 平均値は男4.5, 女3.9剤であった. このように老年患者は多くの診療科を受診し投薬をうけていることが多く, さらに主治医に断りなく一般用医薬品を服用していることが少なくないので, 薬剤重複服用や薬剤の相互作用などの危険性を避けるために主治医の厳しい監督が必要である.

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