日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老化度の評価に関する研究
1. 閉眼片足起立動作能力の加令による変化
日野原 重明山田 秀雄篠田 智璋久保田 譲児島 五郎
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1966 年 3 巻 4 号 p. 289-294

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抄録

老化度の測定については, 今日までいろいろの方法が研究されているが, 著者らは, 老化度の測定法の1つとして, 体位平衡保持能力を示す簡単な一方法, すなわち,「閉眼片足起立試験」を考案した. この試験は, 体位平衡保持能力を示すものであるが, その術式ならびに成績をのべる.
検査方法 被検者を片足で起立させ, ついで閉眼させてから, 何秒間体位をくずさないで起立できるかをみる. 片足起立は左右の足について別々に行ない, その値 (秒) を平均する. 10秒起立できれば, 試験を中止する.
被検者 社会的活動を普通に行なっている20~80才代の, みかけ上の健康者756名 (男523, 女233名)(人間ドック受診者, その他) について検査した成績は以下のごとくである.
成績 片足起立時間は男女ともに, 40才代以上は年令の推移とほぼ平行して短縮する. この起立時間は, 身長の高低や, 運動をやっているか否かなどの条件によって左右されない. 閉眼片足起立試験に示された体位平衡保持能力は, 40才代以上は, 年令の推移とほぼ平行して低下し, その低下度は, 女子は男子よりも少ない. 女子よりも男子のほうが, 体位保持能力はおとる.
以上のことから, 本法は老化度の一測定法とみなされ, この成績からは, 女子は男子よりも, 老化の進行がおそいことが推測される.

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