日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
13C-NMR法による黒酢の分析
山内 一世坂田 完三岩田 央子八木 昭仁伊奈 和夫
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1994 年 41 巻 9 号 p. 600-605

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抄録

非破壊多成分同時分析可能な13C-NMRを用いて黒酢の分析を行った.
(1) 各種の黒酢のスペクトルはそれぞれの黒酢の製造法の違いを示していた.
(2) ンゴ酢の主要成分としてすでに報告した, 2, 3-ブタンジオール(約400mg/100ml)が黒酢の主要成分でもあることが明らかとなった.
(3) 13C-NMRスペクトルのシグナル強度比から,黒酢中の2, 3-ブタンジオールは, meso体とDL体(9:1)の比が1:1の混合物であることが分かった.
(4) さらに,伝統的製法で作られた黒酢Aは,従来黒酢の成分としては報告されていなかったチラミンを相当量(約30mg/100ml)含有していることが明らかとなった.
(5) 13C-NMR分析法は,試料中の主要成分を一枚のチャート上に半定量的に表示することができるために,品質管理への応用が期待される.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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