日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
脂肪酸及び同エステル類による乳酸菌の膨脹変敗防止効果
鍋谷 修内藤 初代澤田 玄道
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1988 年 35 巻 6 号 p. 381-386

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抄録

(1) 3種の低級脂肪酸(n-カプリル酸, n-カプリン酸及びラウリン酸)についてヘテロ発酵型乳酸菌のガス発生抑制効果を調べた.ラウリン酸が最も効果があり, 0.03%で全菌株のガス発生を阻止した.一方, n-カプリル酸の効果は最も低く,ガス発生を阻止するのに0.1%を必要とした.
(2) ツィーン80 (0.1%)の併用により低級脂肪酸類やそのモノグリセライド類のガス発生抑制効果は低下し,ガス発生の阻止に必要な濃度はそれぞれ3倍,またはそれ以上となった. n-カプリン酸やモノカプリンと各種の界面活性剤との併用はガス発生抑制効果が高まる場合もあれば組み合せ濃度によっては逆に低下する場合もあった.オレイン酸のエステルからなる界面活性剤はn-カプリン酸やモノカプリンのガス発生抑制効果を低下させる傾向を示した.
(3) 澱粉類やサイクロデキストリンが共存すると, n-カプリン酸やモノカプリンのガス発生抑制効果は著しく低下した.デキストリンやアラビアガムではその影響は小さかった.一方,蛋白質でも影響は強く現われ, n-カプリン酸やモノカプリンのガス発生抑制効果は約1/3に低下した.

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