日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
薄層クロマトグラフィーデンシトメトリーによる葛澱粉中のイソフラボン類の分析
北田 善三佐々木 美智子山添 胖
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1988 年 35 巻 3 号 p. 141-146

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抄録

古くから民間薬として使用されてきた葛澱粉の有効性を成分の面から解明すべく, TLC-デンシトメトリーによる葛澱粉中のイソフラボン類の定量を行った.
まず,測定条件を検討したところ試料側波長を300nm,対照側波長を400nm,ジグザグ幅を±8mmに設定したときもっとも高感度が得られた.また, HPLCとの比較では, TLC-デンシトメトリーの方がすべての試料で高い値を示したものの良好つ相関性が得られ,しかもTLC-デンシトメトリーでは分析対象としたイソフラボン類以外にも数個のスポットが確認できた.
次に,市販葛澱粉製品5検体を含む9検体についてイソフラボン類の定量を行ったところ,すべての検体からダイゼインが最高270ppm,プエラリンが4検体から最高52.6ppm検出されたが,ダイズインはいずれからも検出されなかった.
葛澱粉の有効性については,まず糊化された澱粉の消化と吸収のされ易さがあげられるが,今回ダイゼインを中心とした葛根中の成分が葛澱粉から検出されたことから,成分の面にも葛澱粉の有効性のあることが示唆された.

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