日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
X線回折法及びアルカリ糊化法による葛澱粉,甘藷澱粉の混合割合の測定
北田 善三松本 光弘永美 大志佐々木 美智子上田 保之
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1987 年 34 巻 7 号 p. 481-488

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抄録

X線回折法及びアルカリ糊化法による葛澱粉と甘藷澱粉の混合割合測定法を検討した.
(1) X線回折像から定量的に混合割合を測定する方法を検討したが,両澱粉の特徴をよく表わしている第4環に着目し,4a環と4b環の強度化を求める方法がもっとも良好であった.
(2) 両澱粉の第4環がa, b2つのピークの合成されTable 8 Comparison of confidence limit at 95% level of means measured by 5 methodsa (%)たものと考え,第4環を2つの正規分布曲線に分割したところ実験値と計算値がよく一致した.
(3) 澱粉のアルカリ糊化を利用した測定法を検討した結果,糊化剤として水酸化カリウム溶液を用い,混合割合を数値化する方法として,試験管転倒法による至適アルカリ濃度を求める方法を開発することができた.
(4) 現在までに開発したSEM法,光遮断法,沈降法,X線回折法及びアルカリ糊化法を比較したところ,比較的よく一致した結果が得られたものの,より正確な結果を得るためには,観点の違った複数の方法を組合わせて判断する必要がある.

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