日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
スポンジケーキの品質におよぼすタンパク質の影響
渡辺 雄二富田 勉青木 宏
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1987 年 34 巻 4 号 p. 234-240

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抄録

卵白(EW),卵アルブミン(EA)および大豆分離タンパク質(SPI)の各タンパク質濃度を変化させることによって,バッターの空気含量,粘度およびスポンジケーキの気孔率におよぼす影響を調べた.また,ケーキの感覚評価と機器測定値との関係についても検討した.その結果の概要は次のとおりである.
(1) EW, EAおよびSPIともに,それらのタンパク質濃度の増加に伴い,バッターの空気含量は減少する傾向を,粘度は増加する傾向をそれぞれ示した.これらの傾向がEW, EAよりもSPIの方で顕著に観察されたのは,タンパク質濃度が,,以上であった.
(2) ケーキの気孔率では,EW, EAとSPIで異なる傾向を示した.すなわち,タンパク質の濃度が増加するにつれて,SPIの気孔率は一方的に減少するのに対して,EWおよびEAの場合は濃度7.5%をピークにして増加から減少に転ずる傾向が観察された.
(3) ケーキの感覚評価と機器測定値との関係を因子分析の結果から考察すると,EWで調製したケーキのテクスチャーは,感覚評価項目と機器測定項目の属性間の関係が一次元的で,比較的単純な系として感覚されるのに対して,EAとSPIの場合は,属性間の関係が二次元的で複合的な系として感覚されることが推察された.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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